新潟県:ホッコク赤エビIQ検討委員会報告書への所見

Date: Wed, 16 Nov 2011 00:11:08 +0900
 水研の資源評価は、もう10年ほど前から、「一通りの予測をしない」で「資源回復確率」を示すリスク管理に移行しています。不確実性を無視した分析は、漁業者を納得させることができないでしょう。しかし、それを怠っていたとしても、平均値で上向く管理方針ならば、説得はできないが、希望は持てるでしょう。
 わからないから対策を取らないというのではなく、しっかりした対案を示すことが大切だと思います。大切なのは批判や評論ではなく、主体的な提案です。
 ですから、現場の説明で、ゆめゆめ、何年後にどうなるなどという不確実性を無視した予言をしないように注意されたほうがよいと思います。
Date: Wed, 16 Nov 2011 00:17:15 +0900
ただし、不確実性(過程誤差)を無視した分析をしているとすれば、漁業者を説得するつもりはないということでしょう。【】
Date: Sat, 19 Nov 2011 19:16:42 +0900
早速の資料をありがとうございました。簡単ですが、私なりの感想を申します。
 まず、対比のためにホッコクアカエビの資源評価を見ました。
http://abchan.fra.go.jp/digests20/html/2071.html
当該資源は近年増えていますね。漁業者はあえてIQを導入しようと思わないかもしれません。ただし、ABCを沿岸と大和【堆】の合計値しか明示していないのが心配です。
 そのうえでIQ検討の報告書と概要版を落手しました。
http://www.pref.niigata.lg.jp/HTML_Article/948/4/00gaiyouban.pdf
http://abchan.job.affrc.go.jp/digests20/details/2071.pdf
概要版しか読んでいませんが、
・「利用頻度の高い漁場については現状以上の漁獲圧は避ける等、効果的な資源管理対策が必要と考えられる」というのは、上記資源評価の印象とは違います。
・網目を大きくすれば小型が取れないのは当たり前で、本来はそこから全体の漁獲量と漁獲高が増えるという分析が必要なはず。
・「沖合底びき網が禁漁となる7、8月は、北海道を中心とする県外産が多く入荷されている」としながら、「実需者に聞き取り調査をした結果、ほとんどが新潟産にこだわって利用していた」というのは整合性がないようにみえる。
・総じて、なぜIQが必要か、IQを導入しない場合との明確な比較がありません。
・IQ 制度導入による漁獲金額推移のイメージ という図は、どこまで精緻な計算をして書かれたものかわかりません。詳細版にも書いていないようです。また、大型化により魚価があがる様子が図示されていません。さらに、現状でも資源は回復基調にあるはずで、IQ導入しない場合に漁獲量一定と見えるのは違和感があります。
・「ホッコクアカエビの年級水準については、過去の漁獲物組成等から比較的変動が大きいことが知られている」と書いてあるにもかかわらず、過程誤差を考慮した分析や予測(日本のTAC管理でも普通にやられること)をしているようにはみえません。これでは、漁業者は納得しないでしょう。
 しかし、ホッコクアカエビは定着性の資源であり、IQを導入して漁業者が儲かる可能性が高いと私は思います。その場合、知事が乗り気で漁業者の不満が高い中でうまくいくかどうかは、どちらかといえば社会科学の問題でしょう。うまくいかないとすれば、もう少し丁寧に論拠を並べたほうがよいでしょう。