評価委員を首になった逆恨みはいただけない

Date: Thu, 19 Jul 2012 15:47:47 +0900
 下記のサイトを今拝見しました。http://katukawa.com/?p=3614 
 各水産資源のABCの決め方に不備があるときに、外部評価委員がびしっと言って正す体制があるというのはその通りです。水産研究センターは水産庁から委託される立場であり、独立した意見を言うのは確かに難しいかもしれません(独立法人になる前は水産庁の内部でした)。
 しかし、水産庁から独立した意見を述べるために、自分たちでは言いにくいことを言ってくれることを期待して、水研自身が外部評価委員という制度を設け、その委員に論客の勝川さんを指名したはずです。外部評価は大学も行いますが、これはスポンサー(大学の場合は文科省)の受けを良くするためでも、文科省の命令で渋々やるものでもなく、社会がどれだけ大学を評価してくれて【いるかを示し】、大学の自治を守るために行うものだという説明を受けたことがあります。単に、お上の判断にお墨付きを与えるために外部委員を雇うならば、もともと勝川さんを指名することはなかったでしょう。
【】 勝川さんが外部から批判するのも内部から批判するのも大いに結構なことですが、彼に期待していた水研の人々に対して、このサイトの書き方はあまりに失礼ですね。
 【】立場上彼らが言いにくいことは確かにありますが、だからと言って彼らを非難しても始まりません。まして、それが彼らの研究の中立性や信頼を損なうという言い方は、ひどすぎます。【】政府関連の研究機関の研究者の研究が信用できないという印象を与えるのは大変残念なことですね。
 逆の例も多々あります。典型例は、Boris Wormらの2048年に海洋水産資源が壊滅するという2006年の論文です。Worm自身が2009年に「Rebuilding Global Fisheries」というほとんどま逆の論文を出しました。今でも、2006年の論文の見解のほうが紹介され続けています。政府系の研究者だから信用できないということはありません。【】