環境影響評価 配慮書は必要か

Date: Tue, 16 Sep 2014 13:56:42 +0900
 各地の風力発電にかかわっており、またNEDOのアセス迅速化委員も務めていますが、環境影響評価(EIA)の「配慮書」なるもの、先日初めて実例を見ました。あれではほとんど何もわからない。
 配慮書って何なのか。戦略評価とはそもそも環境影響だけでなく、その費用や事業採算性も含めて総合的に判断するはず。現行の配慮書では事業採算性を評価しないなら、事業者側は腹を割った複数案の比較検討などできません。戦略評価の先進事例と言われている関西空港では経済性も含めて評価したはずです。
 環境省の役人がある事業者に「どうせ事業者は事業をするつもりなんだろう」と言ったそうです。環境省の役人が環境影響評価を事業を止めるための手段と思っている限り、EIAは定着しません。これは合理的に折り合いをつけるための手段なのであり、中止は最後の選択肢にすぎないはずです。
 どこかで、良い配慮書の例と言えるものをご存知の方がいたら教えてください。どういうときに配慮書は機能するのか。【国や自治体自身が事業者のものを除く】

Date: Wed, 17 Sep 2014 13:51:57 +0900
 配慮書段階で次に進んでよい場合に、その後は重大な手戻りはないという約束が得られるなら、事業者にとってはメリットもあるでしょう。しかし、そうはみえないです。
 やはり、現時点で出始めた配慮書の例は悪いものばかりのようですね。これは改正法の設計ミスでしょう。【】
 調査前倒しは風発でも「迅速化」と称して検討されています。私がその委員会で言っているのは、「もめそうな案件は前倒ししないほうが良い。方法書に対する意見を聞いてから調査しないと、かえってこじれることになる」と言っています。問題ない案件はそもそも配慮書だけで素通ししてもよい(Screeningはよい)が、結局手続きを全部やるからコスト削減にはなりません。だから、迅速ははすべての例でまずい(問題ないものは不要、あるものは時間をかける)【】。法改正が済んだ以上、この辺を蒸し返すことはできません。ですから、しぶしぶ配慮書は作るが、調査前倒しなどを検討する。
 このへん、環境省は敷居を上げることしか考えない。【】もめそうな案件を前倒しして、ますますもめるという事態が続出するかもしれません。
 そもそも、二度意見を聞くのは合意形成プロセスとしてメリットだったはずです。方法書段階で言わないことを準備書の結果見てからいうことはできない。これはなんでも反対の理由を探されるより、事業者にとってもメリットです。方法書前に調査するのではそれが台無しです。では、配慮書で新たなメリットが事業者に生まれるかと言えば、そうではないと私は思います。
 【改正と同時に整備される】データベースなどは、配慮書段階で活用できるものですが、配慮書がなくても方法書段階で活用できるでしょう。