羅臼のシマフクロウ 東京スポーツ報道について

Date: Fri, 25 Mar 2016 11:36:02 +0900
2016年03月20日シマフクロウ給餌禁止めぐり羅臼町VS環境省
http://www.tokyo-sports.co.jp/nonsec/social/519309/

「以前、羅臼の民宿が環境省の指導でカメラマンのフラッシュを禁止したとき、カメラマンたちは『写真が撮れない!』と羅臼周辺の川沿いの山に入って環境を荒らし、営巣するシマフクロウを刺激して繁殖を失敗させてしまった。再び同じことが起こるのは容易に想像がつく」

 東京スポーツが報じたこの羅臼観光協会の主張は、正直言って、私も感じていたところです。実のところ、上記の心配への対策ができるまでは、この民宿の「見せ方」をすぐに辞めてほしいと言えなかったという気持ちもありました。
 しかし、だからと言って、この見せ方が正当だと思っていたわけではありません。いわば、大きな問題が発生する懸念に対処できなかったので、小さな問題をとがめられなかったというところです。
 それが、あの見せ方が正当であるかのような記事を書かれ、大勢の観光客が訪れて写真を撮る事態が生まれてしまい、放置できなくなりました。
 上記の論理は、いわば、自然を平気で踏み荒らすカメラマンを再生産しているということです。羅臼の民宿がそれを長年にわたって戒めているならば、そのようなカメラマンは減るはずです。しかし、現実にはそうなっていないと、観光協会自身が言っていることになります。実際に、そのような不届きなことをしかねないカメラマンが増えていることを心配しています。
 どうせ撮るならば、影響がより少ない方法を観光協会が工夫していることも承知しています。しかし、「どうせ撮るならば」という前提の是非を含めて、自然に接する方法をカメラマンには是非考えていただきたい。知床が餌付けしないシマフクロウの拠点であることをまず理解していただきたい。照明技術の説明だけでなく、シマフクロウの野生復帰の取り組みをまず客に説明いただきたい。
 残念ながら、この民宿の方法では、よい写真を餌付けなしで確実に撮ることはできないと思います。
 他方では、ご承知の通り、知床ではカメラマンによる熊の人慣れが深刻な事態を招いています。カメラマンにもいろいろなかたがいることは承知しています。だからこそ、シマフクロウ保護増殖事業が餌付けを辞めさせているという現状も含めてカメラマンに説明し、彼ら自身に考える機会を与えていただきたい。

 また、上記の記事で、何を根拠に「(シマフクロウを)25年以上保護している」と言っているのかも不明です。羅臼シマフクロウへは国の保護事業も30年以上の歴史を持っています。その中で(羅臼では)給餌は選択肢に入っていません。
 さらに、上記の記事で、「欧米では保護する鳥に給餌し、見せる個体を作ることで、ほかの個体へのストレスを軽減して繁殖を促す活動を行っている場所もあるという」とあります。以前の朝日の記事では、イエローストーンではオオカミに餌付けしているということでしたが、表現が変わりました。今度は何の鳥の話かわかりません。再導入した絶滅危惧種を離島のような一部の場所で見せている場所はありますし、その中には放鳥後も継続的に給餌している場合もあります。ただ、それは、他の生息地への侵入防止を目的にしたものではなく、普及啓発と保護への資金確保が目的で、ガイドの案内付きで人数を制限して行われているはずです。
(以上)