生態学会における自然保護の議論

日時: 2019年3月25日 6:26:53 JST
過去の生態学会の議論には以下もある。2007年松山大会まで行われた企画シンポジウム「大規模開発につける薬」への当時の菊澤会長のメッセージだ。「つける薬」という表現は、今なら「上から目線」といわれるだろうか。開発反対に努める会員は開発業者【に比べて】強者というより弱者かもしれないが。企画者自ら薬に喩えているが、医学では「パターナリズム」という表現がよく使われるようになった。

菊澤会長のメッセージ 2007年3月27日付

…討論のなかで「ゴルフ場など無くったって生きていける」という意見がでた。多分、ゴルフ場建設に対する反対運動に関わっておられるのであろう、実にキッパリとした意見である。確かにそのとおりだなと思いつつも、いささかゴーマンな意見ではあるな、と、思った。たいがいのモノやコトは「そんなのなくても生きていける」といわれそうだ。

里山がみなゴルフ場になってしまう社会は困った社会だとおもうが、ゴルフの出来ない社会が幸せであるとは思えない。ゴルフがなくても生きてはいけそうだが、「ゴルフなしでは生きていけない」と思う人もいるに違いない。

…とすると、われわれとしては、ゴルフ場は全ていけないのではなく、どんなゴルフ場ならよいのか。日本国内にはゴルフ場はどのように適正配置さるべきか、などのことが言えなければならない。当日のシンポのフロアからは、「勝か負けか、といったことではなくて、どのようにしてゆけば、解決できるかというような議論も必要じゃないか」という意見が出ていたが、発表者は、「いや、この問題は勝か負けるかなんです」という意見で、かみ合わせるのが難しいようであった。