風力発電における鳥衝突死のリスクとは

○○様
ご無沙汰しています。
国立・国定公園内における風力発電施設設置のあり方に関する検討会(第6回)を拝読しました。【中略】この委員会で、私としては承服しがたい発言があります。「2月7日の毎日新聞で、風車への衝突死の可能性を指摘する、北海道苫前町におけるオジロワシの幼鳥の死亡記事*1が報道された。希少な野生生物への評価を考える際、たとえ一個体でも悪影響があれば、その地域個体群にとって重大なダメージとなる可能性に留意すべき。」
たしかに衝突死という影響因子を「実行可能な範囲内で」*2避けるべきだということは承知しています。しかし、「一個体でも悪影響があれば、その地域個体群にとって重大なダメージとなる可能性」という文言は、この発言が1個体でも当たってはいけないと解釈されているとすれば、承服しかねます。野生生物に事故死はつき物です。そのリスクを人為的要因により必要以上に高めてはいけないことは論を待ちません。しかし、1個体でも重大な影響とは、何を根拠に言われているのでしょうか?
ここで想定される種は、何でしょうか?数十個体しかいないような種ならいざ知らず、数百個体以上いる生物で、1個体の事故死でも重大な影響があるというのは、私には理解できません。
風力発電は、たしかにまだ将来性が確立した技術とはいえないかもしれません。しかし、将来性を検討すべきエネルギー源です。送電線や高層ビルなど、さまざまな設備での猛禽類の衝突事故死が報告*3されている中で、客観的な発言とは思いません。