オジロワシの生物学的潜在間引き数(PBR)と風力発電環境影響評価

松田裕之・谷圭一郎(横浜国大)・島田泰夫(日本気象協会
近年、累積影響が環境影響評価(EIA)でよく議論されるようになったが、希少猛禽類オジロワシの衝突死が北海道全体でどこまで許容されるかは1事業者の裁量を超えており、本来国が指針を作るべきである。個体群の存続可能性への影響が重要とすれば、PBR(生物学的潜在間引き数)という指標がその目安となる。マガンについては実際の衝突事例がほとんどなく、PBRよりけた違いに少ないことは明らかだが、オジロワシについてはそうではない。留鳥と越冬群の扱い方、直接の知見のない自然増加率の値にもよるが、すでにPBRを超えた人為死亡があるとも言える。他方、越冬群だけでなく、留鳥も依然として増え続けている。本研究では、シナリオ別のオジロワシのPBRの試算を示し、順応的管理を含む今後の風発EIAへの適用方法を議論する。(→個体群生態学会第32回大会講演要旨・参考資料