知床世界遺産候補地科学委員会について

Date: Thu, 23 Jun 2005 09:11:03 +0900
皆様、【日本の河川環境の特殊性についてのご教示】ありがとうございました。
科学者が出す要求には、①理想的だが非現実的なもの、②たいへんな軋轢を伴うが実現可能なもの、③ほとんど現状追認(行政やコンサルの想定内)のものがあります。私が目指すものは②です(①も議事録に残す意義はあります)。
それには、主張自身だけでなく、その結論への議論の持っていき方、政策提案を段階的に行うこと、世論の機を見ることもたいへん重要です。 
今回の知床世界遺産問題もまた、愛知万博と同じく、外圧によって日本の政策が試されています(単に欧米に迎合する気は全くありません)。国内だけなら絶対変わらないことも、既に大きく舵を取りつつあります。けれども、やはり①では実りません。 
残念ながら、愛知万博環境影響評価の負の教訓は、その後の環境行政にほとんど活かされていない気がします。中央環境団体のほうはかなり変わったと私は思いますが、行政のほうが変わったという実感はありません。知床でも、最初は全く同じというか、万博のときの対応よりお粗末なものでした。やはり、外圧がないと、正当なことが実現しない状況が繰り返されたと思います。 
いずれにしても、科学委員会がきちんと落としどころまで考えないといけないということは、この二つの経験からわかりました。たしかに関係省庁や報道や業界・利害関係者との折衝については、科学者は現場感覚が足りません。しかし、本当に歴史や政治を変えようという気概は行政にはほとんどありません(例外はいます)。それを科学者にけしかける人さえ少ないというのは、情けないことです。 
【】海域管理でも知床は難しい舵取りを迫られています。これについては、27日に海洋フォーラムで話します。