徳山ダム営巣クマタカ個体へのGPS装着のお願い

Date: Sat, 24 Dec 2005 12:19:58 +1200
徳山ダムの事務所の方を交えて、ダム水源池環境整備センター(WEC)から依頼された希少猛禽類生態研究委員会の会合を○○委員、○○委員、○○委員、松田が集まって12月23日に大垣で行いました。豪雪のため現地視察はできませんでしたが、今後の調査研究の進め方について、具体的なお願いをしてまいりました。
 委員長からGPSをクマタカ営巣個体に装着する提案がなされました。海外で猛禽にGPSを装着して行動解析する研究はすでに実績があるそうです。日本でも来年から別のダムでクマタカに装着し、目視調査と並行して実施し、精度等を検証する予定だそうです。
 委員長は、徳山ダムでもGPSを装着したいと提案しました。私もそれを強く希望します。私が支持する理由は以下の通りです。 

  1. 徳山ダムは来秋試験堪水が始まり、9つがいの行動圏の一部が堪水するそうです。現在の営巣場所は含まれていないということですが、一部のつがいは営巣地を変えるかもしれません。同じ場所に営巣すれば翌年も目視調査で確認できるでしょうが、ある程度離れた場所に営巣すれば、移動先はもとより繁殖成功、成鳥の生死すら確認できない恐れがあります。GPSを装着すれば、その個体については移動先がわかり、営巣場所、繁殖成功も判定できると期待できます。 
  2. クマタカにGPSを装着した場合の精度などは未実証であり、他のダムでの実証を待つべきだという意見もありましたが、来秋試験堪水するのですから、堪水までに実施しないと意味がありません。行動圏の詳細な解析に耐えるデータがそろうかどうか、既存の目視調査法との整合性は不明ですが、営巣場所の移動については問題なくわかると期待されます。
  3. GPS設置には1個体に付き数百万円(5-600万円)必要ということですが、来年度まではクマタカのモニタリングで数千万の予算が計上されているはずです。9個体すべては無理でも、目視調査の頻度と範囲を減らすなどすれば、2個体1000万円ほどの予算は十分捻出できると思います。また、WECが本委員会の研究費として年間400万円ほど計上しているので、それも最大限に活用すべきでしょう。また、我々の科研費も微力ながら活用したいと思います。
  4. 既存の調査方法に代わる調査として実施することは難しいとの意見でしたが、営巣個体の行方を追うにはGPS装着が一番です。関係する専門家はその意義を必ず理解されると期待します。環境省の許可は必要ではないそうです。
  5. 徳山ダム環境影響評価法施行前の事業であり、事後調査などが明記されたものではありません。したがって、調査計画の変更はむしろ容易なはずです。
  6. 猛禽成鳥を捕獲する必要があります。餌付けするようですが、これについては技術的には問題ないと聞いています。保護団体などが反対する可能性がありますが、必要ならば説明会を開き、我々が説得に努めます。猛禽への影響の有無を実証的に検証できる機会ですので、彼らが拒むとは思いませんし、拒む人がいても、世論の支持は得られるでしょう。むしろ、実施しないほうが批判を受けると思います。
  7. 技術的な問題、財政的な問題、事務的な問題、合意形成にかかる時間的問題などがまだ残されているでしょうが、今から準備すれば、すべて克服できるものと思います。WECには克服すべき問題点を早急に列挙していただくよう希望します。それらの問題点を詰め、実施できるよう、皆様方のご理解いただきますよう、なにとぞよろしくお願い申し上げます。