鳥類の絶滅リスクと生物多様性センターのデータベース

Date: Wed, 30 May 2007 16:06:52 +0900
 日本のレッドデータ検索システムが出来たようです。なかなか便利。このサイトによればマガンだけでなく他の鳥もかなりいます。絶滅危惧種クマタカ種の保存法、絶滅危惧IB類)は44都道府県にいます。国指定のI類が全国殆どの県でI類指定されている様子が、この地図では鮮明です(どうぞご覧ください)。
 強調させていただきますが、准絶滅危惧のマガンの多さに驚かれたようですが、クマタカイヌワシは絶滅危惧I類で、分布域はマガンよりずっと多いのです。個体数は、マガンのほうが多いでしょう。クマタカは上位捕食者でありもともと環境収容力が小さいはずですが、それでも全種共通のIUCNの基準D(II類で1000個体以上)を満たしています。問題は減少率です。
 環境省生物多様性センターのガンカモ類生息調査では、さらに詳細なデータが掲載されています。ずいぶん時代が進んだものです。【】第6回自然環境保全基礎調査 鳥類繁殖分布調査報告書にはたとえば准絶滅危惧種ハイタカのデータがあります。全国約100km2地図で1970年代が79区画(メッシュ)、最近が74区画とあります。かなり限られた一定の調査努力による結果だそうですから、実際にはもっとたくさんいると思いますが、過去と比較できる点(漸減)が魅力です。これだけ少ないのが本当だとして、漸減ならば、准絶滅危惧という判定は理解できます。
 残念ながらこのサイトにはマガンもクマタカもありませんが、クマタカについては平成16年希少猛禽類調査(イヌワシ・クマタカ)の結果についてというサイトに詳しく載っています。それによればクマタカは生息確認(一時生息を含む)が1402区画に及んでいます!
 これらは調査努力が違います。しかし、上記「第6回自然環境保全基礎調査」と同じ調査制度のクマタカ、マガンのデータがあれば、ハイタカの実際の生息区画数、クマタカの1970年代からの減少傾向が類推できます。
 クマタカについては、「・・イヌワシ・クマタカの繁殖成功率は全国的に低下傾向にあるため、将来における個体数の急激な減少が危惧されている。」とあります。絶滅危惧IBということは、IUCN基準なら過去3世代で成鳥が半減以下になっていると思われているということですが、では、70年代には現在の2倍以上のクマタカがいたのでしょうか?
 環境省クマタカなどについても、他の鳥類と同様の「第6回自然環境保全基礎調査」を行っているならば、その結果を公表いただきたいと思います。個体数がわからなくても、この調査ほどのデータが過去と比較できる形であれば、かなり定量的な絶滅危惧種の判定が可能です。せめて、最新のデータがあれば、調査努力の差を補正し、ハイタカなどの実際の分布区画数を推察することが出来るでしょう。
 絶滅危惧種とは何なのか、改めて考えさせられました。