有識者委員会処世術道場(その5)「裏舞台」や「根回し」

Date: Sat, 21 Jul 2007 07:56:38 +0900 (JST)

  1. 多くの会議では、事前に事務方が委員を個別訪問して説明し、意見を聞いています。ですから、事務方は誰がどんな意見を言いそうかが分かっています。
  2. 委員の人選の部分では、だいたい、事務方が座長候補者を決め、事前に座長と相談してどんな委員を選ぶかを決めます(座長は原則として初回の委員会の互選ですが、事前に目星がついているものです)。誰か(座長)に推挙されて委員になるのですから(それが「名誉」かはさておき)、事務方の流れに逆らう時や、辞任するときは座長など自分を推挙した方の「顔をつぶす」ことになるので、直接相談するのが「私の処世術」です。
  3. 事務方は、一度委員を依頼した人には次期も継続して声をかけるのが原則です。ですから、「不規則」発言をしない人かを注意して新規委員を委嘱するでしょう。そのような委員でも途中でやめさせるわけにはいかないので、その委員への専門の対策を準備することがあるようです。
  4. 公開の委員会の前に、非公開の事前打ち合わせをすることも多いです。さらにその前に座長と事務方の打ち合わせは常識です。さらに、事務方と無関係に有志委員が数名で謀議することもあります。【これは反則だそうです。】
  5. ぶつけ本番でまとまりのない発言をするのは「恥」なので、通常、委員は資料を事前に渡された段階で発言を考えてあるはずです。発言時間は数分ですから簡潔です。座長には事務方から事前に「【議事進行の】台詞+時間表」が送られていて、それを棒読みすれば大体済むようになっています。
  6. 「他の人の発言を引用して意見を述べる」のはおっしゃる通り原則です。これは「道場第1回」に追加しておきます。これは、学会発表でも同じです。事前に練習した内容だけでなく、前の講演者を引用して話すほうが一般講演会場の活気が生まれます。
  7. 時間のコントロールは座長の役目です。中には事務方が「予定表」より長々と説明する場合もあるし、予定表より議論を長く確保したいと考える座長は、短くするよう事務方をもコントロールします。
  8. 座長は各委員の意見を事前に把握しておくのも役目です。事務方が手伝うこともあります。座長はいつ誰を発言するかをコントロールできますから、この役割は極めて重要です(民主主義の逆理)。
  9. 座長といえども、事務方の意向を100%汲むことはむしろまれです。平の委員も、自分の意見を通したいなら、事務方と座長と他の委員の意見を把握し、より効果的な具体的要求をすることが大切です。
  10. 自分の意見を適切な場面で述べる配慮は当然です。本来、委員も自発的に発言したいというよりは、呼ばれたのだから、一度くらいは発言しないといけないと身構えるものです。話す順番まで台本に書いてあるのは見たことがありません。単に、委員が自分の出番を探しているのでしょう。
  11. 中には、長々と、しかも何度も似たようなことを繰り返し発言する委員もいます。しかし、後で議事録を読み返してみて、その意見が見識があることはまれでしょう。他の委員や傍聴者に説得力があるともいえません。
  12. 事務方の視野が狭いのはよくあることです。事務方は、まずFeasibilityを大事にします。委員がその場で提案した内容に説得力があるときも、それを実行するときにどんな問題が生じるかを事務方は真っ先に考え、実施方法が不明確なら質問してきます。委員も、Feasibilityを重視して発言すべきです。

最後に、失礼ながら、「呼ばれもしない委員会に行く必要はない」というのも「私の処世術」です。【】私は、どんなに大事な節目の会議でも、(当たり前ですが)講義などを優先することにしています。