松田案:地域と研究者の協働のためのガイドライン

Date: Mon, 20 Sep 2010 08:45:43 +0900
地域環境学網の皆様*1
 大変充実したシンポジウムでした。総会の最後までいられなかったことをお許しください。【】差し出がましいようですが、協働のガイドライン、もっと単純にしたものを考えてみました。【】17条の憲法バージョンを考えています。【】「和を以って尊しとなす」というのは、そのままでも当てはまるでしょう。第1条はこれだけかと思ったら、そのあとに補足説明があるのですね。それもよい。一言で原則を述べて、その説明を書く。(聖徳太子の17条憲法*2

【】あくまでもたたき台です。
1. 和をなによりも大切なものとし、いさかいをおこさぬこと。
2. 現場の声、政府の見解、科学的知見を踏まえた解を探すこと。
3. 地域の合意が得られたなら、謹んでそれにしたがうこと。
4. 意見の異なる者にも礼節を尽くすこと。
5. 多少の金銭的負担にこだわらないこと。
6. 科学的知見を絶対視しないこと。
7. 人に期待し、信じ、多くを求めすぎないこと。
8. 引き受けた任務を途中で投げ出さないこと。
9. 【地域に不都合な知見でも、正直に説明すること】。
10. 議論は冷静かつ建設的に行なうこと。
11. 得られた研究成果を地域に説明すること。
12. 研究者の利益と地域の利益が異なることをわきまえること。
13. 研究者は地域の取組みの経緯をよく理解すること。
14. 研究成果になる新しいことにこだわらず、地域に最善の科学的知見を示すこと。
15. 研究者は地域を離れず、末永く付き合うこと。
16. 地域のペースに合わせ、急ぎすぎないこと。
17. 意思決定は十分に議論し、1人で決めないこと。

Date: Wed, 22 Sep 2010 12:36:42 +0900
【】憲法、協働のガイドラインの対応票を作りました。たしかに、いわば「当たり前のこと」が17条には多く、より深いところがないかもしれません。しかし、当たり前のことが必ずしも守られていないことも良くあると思います。
 【】Primitiveなものとして、17条の憲法は便利だ(誰でもその存在を知っているものをたたき台に使う)と言う点も、考慮すべきだと思いました。

Date: Fri, 24 Sep 2010 07:52:04 +0900
 【個体群生態学会】大会企画の最後に嶋田さんが質問されていましたが、現場のデータを使った研究をすることと、現場が我々の成果を使うことは違います。応用科学とは本来は後者を目指すべきだと思います。そのために、先週、地域環境学ネットワークを立ち上げました。http://www2.nagano.ac.jp/sato/network_localscience/index.html
 個体群生態学は実際の個体群管理、生態系管理、生物資源管理の強力な武器になります。自分がいて初めて政策が変わると思うことは多々あります。ただし、その多くは生態学的にはそれほど新しいことではないかもしれません。しかし、具体例は迫力があり、また不確実性の考慮方法は事例ごとに違うので、当分は論文に書けるでしょう。
 既存の学問体系では、地域に役立つことと研究の評価の乖離が生じます。【以前ある途上国】で愕然としました。【首都近郊の】湖の環境問題を【地元大学】と連携して進めるのだが、富栄養化と不法居住者問題という社会学的にホットな話題があるのに、彼らは重金属汚染など自分の課題に固執する。たしかに先進国の環境基準を満たさない汚染はあるかもしれないが、途上国ではもっと大きな問題がそこにある。

*1:http://d.hatena.ne.jp/hymatsuda/20110619に最新記事

*2:2022/10/5リンク先修正