ユネスコMAB計画の紹介

Date: Thu, 13 Jan 2011 01:38:27 +0900
お返事ありがとうございます。
ジオパークユネスコが「協力する」事業ですね。世界ジオパーク以外に日本ジオパークという制度を作っているため、各地で登録運動が盛んです。MABとは違います(MABはUNESCOの中に事務局があります)。
 「BRの設定はどちらかというと手付かずの自然(核心)を保存しようという思考に見える」ということですが、利用と保全の調和を図るという趣旨で、たしかに核心地域については「手付かずに」守ることになりますし、緩衝地帯は核心地域への影響を最小化するための措置だと思いますが、移行地域については利用を主眼としていると思います。つまり、利用と保全の衝突を避ける空間配置の知恵です。
 その意味では、単に「手付かずの自然を守る」という思想ではありません。しかし、いわゆる(奥山のない)里山のように、核心地域とすべき部分がない地域の持続的利用ではなく、日本の国立公園のように、核心地域を守りながら、その周辺を使う(いわゆる「海洋保護区」もこの趣旨に沿うものが多い)ことになります。
 愛知万博副会場だった海上の森ですら、スニーカーとハイヒールでの立ち入りの区別(前者の人数制限)が議論されましたから、日本にもBRのようにZoningすべき場所は多々あると思います。
 BRはMAB計画の一つであり、利用と保全の調和を図る取り組み総体を含みうる計画です。COP10里山Initiativeでも、MABとの連携が決議に盛り込まれました。
 MABとして、登録運動をしているのはBRです。また核心地域は利用を制限している必要はありますが、手付かずにする必要はありません。たとえば阿蘇の場合も、絶滅危惧種のための保護区はあるようですので、そこでの利用が「法的に」制限されていれば、核心地域にしても良いでしょう。しかし、無理にBRにする必要はありません。私としては、里山をBRとは別のMAB活動にするほうが良いと、個人的には思っています。