コンコルドの誤りと豊洲問題

Date: Sun, 9 Jul 2017 15:30:59 +0900
コンコルド効果」またはConcord Fallacyという用語が行動生態学にある。英仏の超音速旅客機コンコルドが、開発までに多額の資金を要したため、実用化しないと勿体ないという間違った経済性をもつのが人間だけか、生物界にも見られるかを検討したものである。
 これと現在の豊洲問題を比較してみよう。豊洲でも、移転までに多額の建設費用をかけたのは割に合わなかったといわれている。その点ではコンコルドの開発と同じだ。
 コンコルドの場合、投じてしまった開発費用の多寡でなく、今後の運営資金がさらに赤字になるのに、過去に投じた資金が無駄になるのを避けようとしたことが、経済的に「誤り」とされた。重要なのは今後も赤字を続けるかどうかである。
 では豊洲はどうなのか。過去の資金が過剰だったとしても、今移転をやめて、それが回収できるわけではない。重要なのは今後の収支である。今後も、築地再整備に比べて採算性が悪いかどうかだ。しかも、築地再整備の予算は新たに発生する。
 過去の状態はコンコルドに似ていても、今後の収支が再整備を含めた築地より悪くなければ、いま豊洲をやめて築地に戻すのはコンコルド以上の間違いと言われるだろう。
 過去に不適切な建て方をした建造物は山ほどあるだろう。その責任を問うのはよいが、その建造物を使うこととは別の話である。

中嶋よしふみさん「築地・豊洲の市場移転問題、知らないと恥をかく数字の読み方〜マスコミ・都知事・当選した都議向けのお話〜」

勝川俊雄さんTwitter

「市場運営から得られる収益と比較して豊洲市場の建設にお金をかけ過ぎた」というのはその通り。だからといって、すでに完成しているインフラを使わずに、いたずらに追加の費用を発生させるべきではない。