Date: Tue, 24 Sep 2019 12:32:03 +0900*1
各魚種系群のMSYやABCを算出する際に用いる汎用genericモデルというのが少々機械的すぎるのではないかと思います。それが「科学的」とはいえません。少なくとも,マサバの場合は減少期のRPSを除いて1991年以後のデータを使うなど,少し解析手法を工夫すれば変わるかもしれません。当分は現状の漁獲量で問題ないように思います。
そうしないと,たとえば激減期にはABCが0,定置網にかかったら全部放流しろなんて変な話になりかねません。MSY概念は過程誤差,レジームシフトなども考慮したものに変わったから,古典的MSY批判は的外れと言っていますが,過程誤差は考慮しているが,種間関係とレジームシフトはGenericな手法としては実際には考慮していないようです。マサバにおけるレジームシフトによる自然変動は統計的には不明確なのかもしれません。しかし,やはりマサバ太平洋系群の神戸プロット(図1*2。吹き出し文言は松田)は不自然に見えます。2008年ころから,過剰漁獲なのに極めて順調に増え続けているという理解になります。
ただしF>Fmsyでも,資源が回復しないとは限りません。Replacement line(翌年のBが今年のBと同じになるf)というのは神戸プロットの中に描けるとは思います(図)。それでも,HSのときのreplacement lineは,B<BmsyではFmsyに一致する(B>Bmsyのときは右下がりになる)。
マサバ太平洋系群の場合,2008年ころから,一貫してRPSは異常に多いために(平均的には減るはずの資源が)増え続け,初めて2017年に減ったという理解になる。やはり,レジームシフトをマサバにも考えるほうが妥当な気がします。