北方四島問題としての知床世界遺産

Date: Thu, 23 Nov 2006 19:29:26 +0900
○○さん
 いまなぜ【北方領土返還運動論の】議論が起きるのか。普通に考えれば、もう4島はおろか、2島さえ返ってこないと思います。ロシア側に、返す理由がない。
 ロシア崩壊直後のようなチャンスが将来来るとすれば、2島くらいは戻ってくるかもしれません。結局は、手の打ちようがなくなった、で終わりのように見える。世界遺産の拡張のほうがはるかに現実的。その中で、別のシナリオが動き出す可能性を待つ、というなら、わかります。

Date: Sat, 25 Nov 2006 09:08:13 +0900
 日本の最近の外交の「大成功」は金正日に拉致を認めさせたことです。さらなる得点を逃したと批判するのはたやすいが、これは【事実上の】国家犯罪を赤裸々にした大戦果。【】
 去年の世界遺産登録での外交も、うまくやったと思います。IUCN評価書で「ロシア領千島」との「国際平和公園への世界遺産拡張」という示唆のうち、前者を改めさせ、後者のみを残したのですから。
 そして、今年は(上記IUCNでも評価していた)日露ビザなし枠での共同調査をロシアが認めなかった。私は、世界遺産拡張は(領土問題とは別の、北方四島との新たな関係を築く)大きなチャンスだと思います。

Date: Thu, 30 Nov 2006 18:03:29 +0900
【知床世界遺産の拡張がどうして北方領土返還につながるのかという質問が出たということについて】
 これは領土返還運動とは別の、新たな北方四島問題なのです。新たな問題だからこそ、国際的な主導権を握れるのです。それが領土返還にどう跳ね返るかはまだわかりませんが、10年間は無関係でしょう。
Date: Thu, 30 Nov 2006 19:05:40 +0900
・領土返還運動と絡めないこと
・領土返還運動を未解決問題としたまま、世界遺産を拡張すること
・当然ながら、世界遺産を拡張すれば、共同調査、共同管理が必要になる。その交流が大切である。
 それ以上、具体的なことは、私にもわかりません。
 1が重要です。背後に領土を感じさせる(あるいは袖の下から鎧が覗く)限り、ロシアは乗ってきません(すでに2006年のビザなし調査も妨げた)。領土のためでなく、知床と北方四島の自然のために重要であるとだけ主張し、譲るべきところは譲る(領土未解決は譲らない)ことが大切だと思います。ユネスコとIUCNは、そのお墨付きを与えてくれました。 ロシア領の文言だけ削除させたのは、満額回答です。
 むしろ、外務省主導よりも、しばらくは研究者と環境省主導のほうがよいかもしれません。
 それにしても、ソ連崩壊のとき、日本は何をしていたのか。あのときはまだバブルの余韻、買い取ることもできたはずだ。 私はずっと、北方領土は反ソ宣伝の材料で、領土返還より共産主義対策が重視されていた(からわざと解決しない)と思っていた。それなのに、ロシアになっても解決しないとは・・・