再稼働しない原発はなぜ安全なのか?

Date: Tue, 20 Nov 2012 10:30:24 +0900
 【11月12日東大行事でも示されましたが、】福島第一原発事故の場合、放出された放射線の大半は4号炉の使用済み核燃料です。ところが、現在停止中のほとんどの原発施設に、これは残されているはずです。【もちろん、福島第一原発を襲ったような地震津波でも炉心溶融に至らないような安全対策は練られているはずですが、それならば再稼働した原発だけが危険で、】再稼動しなければ原発は安全とはいえません(発電できないだけです)。どこまでの安全を目指すかは社会が決めることですが、本当に安全を目指すなら、一刻も早く使用済み核燃料を「より安全な場所」に移すべきであり、逆に言えば、それが決まるまでは原発を稼動するという選択肢もあるはずです。これは誰も言っていない。科学者の果たすべき役割は反原発に与(くみ)する意見か、原発容認に与する意見かではない(「安全かどうかが問題ではなく、原発を止めることが重要」という意見もあるかもしれませんが)。どこまでの安全と、どこまでの発電量を追求するかに応じて(それは社会が決める)、科学的に一貫した政策を提言することです。
 食品の安全性についても、キーワードは「選択の自由」であるといいました。低濃度に汚染された福島の農水産物を食べて支援する自由も、より濃度の低い食品を選ぶ自由もあってよい。【】これはだいぶ前から私は活字にしていますが(14日にも言いましたが)、残念ながら政策には生かされませんでしたね。